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大豆インキ(だいずインキ、大豆インク)とは、大豆油から作られる工業印刷用油性インキ(インク)の一種。ソイ・インキ、大豆油インキとも呼ばれる。 従来の石油溶剤ベースのインキと比べると、以下のような違いがある。 *揮発性有機化合物(VOC)の発生が少ない。 *生分解されやすい。 *紙のリサイクルに適している。 *リサイクルされた紙の白色度がより高くなる〔アメリカ大豆協会 - ソイシールについて 大豆インキの環境貢献 〕。 *紙からインキを効率的に除去しやすく、紙繊維の損傷が少ない〔ハート株式会社 エコの基礎知識>大豆インキ 〕。 *大豆油の透明度が高いため、色料を最大限に生かした鮮やかな発色が可能〔ビジネス印刷センター 大豆インキをご存知ですか 〕。 *延びがよく、少ない量のインクで印刷できる〔“Waste Evaluation of Soy-Based Ink at a Sheet-Fed Offset Printer.” May 1996. © 1999, Pacific Northwest Pollution Prevention Resource Center. http://www.pprc.org/pprc/rpd/fedfund/epa/epastd/waste.html 〕。 *乾燥に時間がかかる〔福博印刷株式会社: 地球にやさしい大豆インキを使用 〕。 ==歴史== 大豆インキは、1970年代のオイルショックを受け、石油ベースのインキの代用品として全米新聞出版業者協会(ANPA)の理事会の指示により研究が始まった。 1985年に大豆油、石油、石炭色素を原料とするハイブリッド型の新聞用ブラックインキが開発されたが、大豆油の含有率は3割程度であり、従来の石油系インキに比べると7割も高価だったため、広く利用されるには至らなかった。一方カラーインキにおいては、色素の延びがよくコスト面でも石油系のものより有利だったため、ANPA会員の間で使われ始めた。 その後、化学者セヴィム・エルハンなどによる研究が重ねられ、従来の印刷設備でも使用可能な大豆インキが完成した。1987年、ANPA認定の大豆インキ(黒・カラー)を使った商業印刷がアイオワ州のシダー・ラピッド・ガゼット誌 などによって始まった〔Linda Cooke "All-soy ink splashes into print - ink that is made from 100% soybean oil". Agricultural Research. March 1991. FindArticles.com. http://archive.is/20120709050602/findarticles.com/p/articles/mi_m3741/is_n3_v39/ai_11235436 〕。 2004年の時点で、アメリカでは、発行部数が1,500部以上の新聞のうち95%が大豆インキを使って印刷されているほか、商用印刷物の1/4に大豆インキが使われている〔Theodore Lustig, “Celebrating Soy, After 25 Years.” August 1, 2004. Graphic Arts Online. http://www.graphicartsonline.com/article/CA446851.html〕。日本では、2003年の時点で、新聞インキ・平版インキの64%に大豆インキが使用されている〔印刷インキ工業連合会:環境と印刷インキ 〕。 アメリカでは大豆インキの利用促進を宣伝するため、アイオワ州大豆協会(ISA) によってナショナル・ソイインキ・インフォメーション・センター(全米大豆インキ情報センター)が設立されたが、大豆インキ業界の順調な成長の結果、このような団体は必要なくなったと判断され、2005年に閉鎖した〔LeCompte, Celeste "Soy inks sink in." Sustainable Industries, April 2006. http://www.sustainableindustries.com/sijnews/2698906.html〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「大豆インキ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Soy ink 」があります。 スポンサード リンク
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